滑る・滑らない 摩擦の仕組み

摩擦のしくみ

日常生活から感覚的には分かる摩擦。改めてなぜ滑りやすい・滑りにくいが起こるのかを考えてみます。

接触する2つの物体が外力の作用のもとで滑りや転がり運転をする時、あるいはしようとするときに、その接触面において運動を妨げる方向に力(摩擦力)が生じます。この現象を「摩擦」と呼びます。

例えば金属表面はどんな高精度に仕上げられていたとしても粗さという凹凸が存在します。そのため2面が接触するといっても幾何学的な平面同士が接触するわけではなく、尖った山の先端のごくわずかな部分だけで接触していることになります。これを見かけの接触に対して真実接触といいます。真実接触面積は多くてもみかけ接触面積の数%以下であり、わずかな面積で荷重を支えるので、接触点は変形します。接触点の山の先端はつぶされ凝着を起こします。そこで一方を動かそうとすれば、その凝着している部分がひきちぎられ、同時に新しい凝着が起こります。その繰り返しに必要な力が摩擦力です。

クーロン・アモントンの法則 この法則が摩擦の研究の基本となっている。

  1. 摩擦力は接触面に加えられる垂直荷重に比例する。
  2. 摩擦力は接触面積に無関係である。
  3. 摩擦力はすべり速度に無関係である。
  4. 摩擦力はすべり面の性質に関係する。

摩擦力の増減

摩擦力を低減し、より小さい力で物体を動かすためには摩擦係数を下げることです。転がり摩擦は滑り摩擦より小さいことから、古来より重量物の移動に”ころ”が用いられています。

また2面間に油を介在させると摩擦係数が小さくなることも知られており、植物動物油を使用していました。

摩擦係数を下げるには

真実接触面積(見せかけではない)を減らすことで、摩擦係数を下げることができます。それには表面形状の工夫や材質の硬質化が必要です。また凝着による真実接触面積の増加を防ぐには、材料の硬質化が有効です。接着面の凝着を起こさないようにするにはオイルなどの添加が有効です。

あとは実際の接触を起こさないように磁気で浮上させる方法、圧縮空気で浮かせる方法などもあります。

物流現場の工夫

トラックの荷台から荷物を滑らせて作業をする際には、かねてから「蝋」が使われてきました。アナログなやり方ですが、確実な効果を発揮するので、現在でも幅広く使用されています。ただし、塗る作業が大変なこと、塗り加減によって滑りに差が出る(塗り過ぎると効き目が悪い)こと、汚れが付きやすくなるなどの問題点があります。

次に、ローラーを使う工夫です。ローラーコンベアは多くの現場で利用されておりますので様々な形状で主に大型施設で設置されています。最近では、簡単に持ち運びができるローラーコンベアが登場し、使いたい場所で設置し使い終わったら片づけることができるようなポータブルなコンベアなども出ています。

三鈴工機 丸まるコンベヤ

恒常的に発生する重貨物の移動には、床面に摩擦係数を下げるパネルを貼る方法もあります。これはフォークリフトが入れない狭い場所であったり、ローラーコンベア設置のスペースが無い場合などに有効です。プラスチックパレットに荷物を載せた状態で150㎏程度までなら手で押すことで移動が可能です。

協和電気化学株式会社 μ(ミュー)デッキパネル

少しの工夫で現場作業の負荷が飛躍的に軽減する方法があるかもしれません。まずはどの作業ポイントで摩擦による負荷が発生しているかを調べ、それに合った対策を考えてみてください。

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